スマホを使って誰もが気軽にVRに触れ合うことが出来るようになったことで、VR市場は世界的に約9兆円以上もの市場にまで膨らんだ。
少なくともVR市場は9兆円を遥かに超えて、どんどんと拡大していくと考えられています。
しかし、ここでふと立ち止まって考えて欲しいことがある。
当サイトのコラムでも、何度か取り上げていますがVRによる体験は、その人の性格を変えるほどの恐るべきパワーがあります。
NHKのクローズアップ現代で取り上げられた2016年放送の『あなたの脳を改造する!? 超・映像体験(バーチャルリアリティー)』では、その衝撃的なタイトル通り、VRによって性格が変わってしまうのではないか……というアメリカの研究結果が取りざたされていました。
すでに私たちの日常に少しずつですが、確実にVRという技術は進出し続けており、VRによって何かしらの影響をアナタやアナタの周りの人が受けている――かも知れません。
VRが、なぜ人を変える? 感覚を作ることで行動が変わる?
「VRには人の性格を変えてしまう力がある」そんな事を言うと、まるで映画のワンシーンのようですが、事実VRにはそんなSFのような力があります。
VRは私たちの感覚を「作る」ことが出来ます。
『あなたの脳を改造する!? 超・映像体験(バーチャルリアリティー)』では、VRの中で自由自在に飛び回り子どもを助ける経験をすることで、ペンを落とした人のペンを拾おうとするのを助ける時間も、助ける人も増えたそうです。
番組の中では、VR世界で子どもを助ける体験をしたことが、その人の性格に大きな影響を与えているのではとされており、使い方次第ではVRは人間にとって神にも悪魔にもなる、という事実が浮き彫りになりつつあります。
それでは、なぜVRがその人の性格まで変えてしまうのでしょうか?
それはVRならではの感覚を「作る」という技術が、原因だと考えられています。
小さなことで人間は変わる。感覚を作ることで、行動が変わっていく
人間を変える、ということはそう難しいことではありません。
人間の行動は、小さな行動の積み重ねで出来ています。
暑いや寒いという感覚をVR上で体験することで、行動が変わります。
1つの行動が変われば、その人の物事の捉え方も変わる。
VR空間の中で、人を助けることを「気持ち良い」と思い、落ちたペンを拾うのを助けたように、1つの感覚が変わることで、行動が代わり、そして性格も変わっていく――私たちが思っている以上に、私たちはさまざまな物事の影響を受けやすいのです。
日経ビジネスのネット版「日経ビジネスオンライン」の『研究室に行ってみた』というコラムでは、こういったVR技術を用いることで、人間関係すら変えることが出来る、と言うことが言及されています。
本当にVRによって性格が変わり、人間関係すらもガラリと変わってしまうのか、今は研究段階ということもあり、詳しいメカニズムなどは不明ですが、感覚を作るVRという技術の利用は、私たちが思っている以上に“人間”という存在を大きく変えてしまうだけのパワーが秘められているようです。
VRに秘められた恐るべきパワー。私たちは、どうVRと付き合っていけば良い?
VRによって身体感覚が変化し、性格までをも変えてしまう可能性がある。
このVR技術を悪用すれば、それこそSF映画に登場するような「ディストピア」すら、現実にすることができるかもしれません。
それでは、私たちは特に小さなお子さんをお持ちの親御さんは、VRという技術とどうやって付き合っていけば良いのでしょうか?
大切なのは、VRという存在を親御さん自身も良く知っておくことでしょう。
VRはただの仮想現実を体験することができる道具(ツール)ではなく、感覚を作ることが出来る新しい時代の技術だということを自覚し、出来る限り子どもに体験させるVRコンテンツについては、親が管理するということが重要になって来ます。
無条件に、どんなVR映像、VRゲームでもさせるというのは、お子さんの健やかな成長に良い効果を与えない可能性があります。
できるならば「これはダメ」「これは良い」など、お子さんの健やかな成長のために、与えるべきVRコンテンツは親であるアナタが選ぶようにしたほうが良いかもしれません!
アナタも知らずしらずのうちにVRによって変わっているのかも……?
1本の映画や1冊の本が、誰かの人生を変えてしまうことがある。
しかし、VRがもたらす変化は、もっと身近なことであり、映画や本による変化のように自覚的に行われるものではありません。
むしろVRによる変化は、もっと静かで、もっと無自覚なものです。
もしかしたら、すでにアナタの性格もVRによって変わっているかもしれません。
しかし、何も知らずにVRを楽しむのとVRは「感覚を作って、性格を変えるかもしれない」と思いながらVRを楽しむのとでは、変化の具合が大きく変わってきます。
知らずしらずのうちにVRによって“何か”が変えられることを知っていれば、アナタの大切な“何か”を変えられずにすむかもしれない。
VR元年をすぎ、VRの影響力は少しずつ拡大している今だからこそ、VRが与えるアナタや周りの人への影響を、もう一度考えてみませんか?